長尺シートのメリット・デメリット

25 / 10 / 2018

長尺シート

住宅のシート床材で、最も一般的なものが「クッションフロアー」ですが、それとよく似たものに「長尺シート」という床材があります。どちらも巻物のようなシートを床に貼るもので、しかも材質は同じ「ポリ塩化ビニール」。しかしこの2つの床材には、利用場所や特性に大きな違いがあります。第二回目の今回は、長尺シートとクッションフロアーとの違いを中心に、長尺シートのメリット・デメリットを見ていきましょう。

長尺シートとは?

長尺シートは見た目も材質も、クッションフロアーとほぼ同じですが、根本的な違いはその「耐久性」にあります。クッションフロアーは耐久性がそれほど高くない代わりに、価格が安くて施工しやすいのが特徴です。それに対し、長尺シートは、防水性はもちろんのこと耐薬性が高いものもあり耐久性にとても優れますが、価格が高めで施工しにくいのが特徴です。また長尺シートは汚れにも強く、土足で歩く場所にも使えますが、クッションフロアーは基本的に室内の土足で歩かない場所に限定して使われます。

結果、クッションフロアーは住宅の室内で多く利用され、長尺シートは公共施設や病院など、たくさんの人が訪れる施設や場所で多く利用されます。もちろん住宅でも長尺シートは利用できますが、費用対効果を考えるとクッションフロアーの方が無難と言えます。


長尺シートのメリット

それでは長尺シートには、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?クッションフロアーと比較しながら、その特徴を見ていきましょう。

 

耐久性が高い

クッションフロアーとの一番の違いはその「耐久性」。具体的には、ものを落とした時に、クッションフロアーだと破けてしまうこともありますが、長尺シートなら破けることはほとんどありません。さらに、家具などを置いた際も、クッションフロアーだとへこみが残りますが、長尺シートだとへこみがほとんど残りません。また、長尺シートは熱や薬や油に強いものもあり、病院から工場まで、様々な用途の施設に利用することができます。つまり、クッションフロアーは住宅がメインの床材で、長尺シートはありとあらゆる施設に利用できる床材と言えるでしょう。

 

機能性に優れる

クッションフロアーは安価で施工しやすくするために機能を絞っているのに対し、長尺シートは機能を重視したものが多いのが特徴です。防水性はもちろんのこと、耐薬性に優れたもの、耐油性に優れたもの、耐熱性に優れたものなど、使用する場所によって使い分けることができるように、様々な長尺シート製品があります。また、転倒時の衝撃を和らげるクッション性の高いものもあり、多くの人が利用する店舗や病院や公共施設でも利用される長尺シートです。住宅でも、天然素材からできている「リノリウム」と呼ばれる長尺シートなら、小さなお子さんがいるご家庭でも安心して利用できます。

 

メンテナンスが容易

長尺シートはメンテナンス性にも優れ、土足を前提とする場所はもちろんのこと、店舗や公共施設のようなたくさんの人が訪れる場所で多く利用されます。耐久性が高いので、メンテナンスを行う頻度を減らすことができます。さらに、長尺シートは清掃が容易なのはもちろんのこと、長期間ワックスをかけなくても済むものもあれば、中にはワックスが要らないものもあります。価格が高めでも、メンテナンスにかかる費用を考えれば、効果は十分期待できる長尺シートです。

 

デザインの自由度が高い

長尺シートも、クッションフロアー同様に、表面の仕上げを変えるだけで、様々な床デザインにすることができます。フローリングのような木調もあれば、高級感を感じさせる大理石調のものもあります。しかも長尺シートの場合、クッションフロアーに比べて硬質素材なので質感を出しやすく、本物の木調や石調と見間違えるほどの質感を実現できます。そのデザイン性の高さから、店舗などにも広く使われます。


長尺シートのデメリット

全般的に機能性が高い長尺シートですが、もちろんデメリットもいろいろあります。こちらもクッションフロアーと比較しながら見ていきましょう。

 

コストが高め

機能性に優れる長尺シートですが、その分、素材の手配や施工にかかるコストが、クッションフロアーに比べて高くなる傾向があります。そもそも長尺シートは、ホームセンターではあまり取り扱っておらず、床材メーカーから直接仕入れることが多くなります。一般市場にあまり出てこない分、素材そのものの価格も高いというわけです。さらに長尺シートだと、ものによってはある程度の面積以上の発注がないと購入できないものもあり、小規模な住宅では導入しにくい場合もあります。また、施工もクッションフロアーほど容易ではありませんので、工事コストも多めにかかり、全般的にコストが高めになりがちです。

 

DIYには不向き

長尺シートはクッションフロアーに比べて重く、固さもあるのでとても施工がしにくいです。クッションフロアーなら個人のDIYでも可能ですが、長尺シートだとその施工しにくさから、個人のDIYで設置するのは一筋縄ではいきません。住宅で部分的にでも長尺シートを利用する場合は、購入から施工まで業者に任せるのがおすすめです。


まとめ

長尺シートは、クッションフロアーとの違いがわかりにくいですが、わかりやすく言うと、土足の場所でも使える「耐久性の高いクッションフロアー」ということになります。それ故に、長尺シートは店舗や公共施設で多く利用されますが、もちろん住宅でも利用できます。住宅で長尺シートを利用する場合は、見た目を重視する場所や、土足で上がる場所など、ピンポイントで利用するのがおすすめです。ただし長尺シートをDIYで施工するのは困難ですので、施工の際は業者にお任せしましょう。そして次回は、そのDIYに最も適している床材の「フロアタイル」についてお話ししたいと思います。

 

第一回目 クッションフロアーのメリット・デメリット

第二回目 長尺シートのメリット・デメリット

第三回目 フロアタイルのメリット・デメリット

 

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